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私の植物観察日記

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カテゴリ:ため池・湖沼の植物( 36 )

サキボソフラスコモ (シャジクモ科)

サキボソフラスコモ(シャジクモ科フラスコモ属)は本州~九州の水田や側溝等の水深の浅い場所に生育します。環境省RDB2014では絶滅危惧Ⅰ類(CR+EB)に指定されており、近年の調査では全国でも数ヶ所しか生育が確認出来なかったと記述があります。ここでは水田の素掘りの水路にシャジクモ C.braunii やフタマタフラスコモ N.furcata と一緒に生育していました。
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生殖器は輪生枝の各節に付き、雄器、雌器が各1個ずつ付いています。
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終端細胞は短縮せずほとんどが2細胞ですが、中にはこのように3細胞のものも見られます。真ん中の枝は先端にある終端細胞が欠落しています。
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終端細胞です、名前のサキボソはこの細い終端細胞から付けられたようです。
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雌器です、らせんは7本確認できます。
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主軸は400μmほどの太さです。1メモリは100μm。
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Nitella mucronata (Braun) Miq.
平成30年10月 京都府
by mst-ky | 2018-10-10 21:05 | ため池・湖沼の植物 | Trackback(6)

マガリフラスコモ (シャジクモ科)

山間部に位置する減水したため池の水際に、全体が水垢で覆われた小さなフラスコモらしきものが生えていました。このフラスコモの仲間は維管束植物ではなく藻類ですが、水質を浄化する作用があると言われています。
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藻全体の水垢をきれいに洗い落とすと緑色の藻体が現れてきました。藻丈は6cmほどで非常に小さく上部の若い枝は寒天質で覆われています。また枝は分枝しておりシャジクモ類ではなくフラスコモ類で間違いないようです。
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各枝(第2と第3分射枝)には雄器と雌器がひとつづつ付いています。
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左が雌器で右が雄器です。また雄器には短い柄が確認できます。すべてのフラスコモ類の雄器には柄があるのですが、ほとんどの種は非常に短くて、このようにはっきりと確認できる種は少なく、このことは種を特定する重要な要素となるようです。
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終端細胞はほとんどが短縮しない2細胞ですが、中にはこのように短縮したトゲ状の1細胞のもの混じります。トゲ状の1細胞を持つフラスコモ類は少なく、この特徴からも種がかなり絞り込まれます。
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主軸の幅はは290μmほどです。図鑑にはマガリフラスコモの主軸の数値は書かれていないのですが、変種であるハリバフラスコモ var.stricta の主軸は300μm以下と書かれており、マガリフラスコモの主軸もほぼ同じではないかと想像します。ふつうフラスコモ類の主軸の幅は500~800μm程度ですから、かなり細い主軸です。(1メモリ100μm)
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卵胞子の長さは260μm、らせん縁は7本確認できます。(1メモリ10μm)
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卵胞子の表面模様は粒状突起模様です。以上の特徴からこのフラスコモ類は図鑑に書かれているマガリフラスコモの特徴とほぼ一致します。兵庫県産淡水藻目録 2010にはマガリフラスコモの掲載はなく、これがマガリフラスコモで間違いなければ兵庫県では初めて生育が確認できたことになります。マガリフラスコモは愛媛県今治市で採集された個体をTYPE標本としているそうですが、現在では愛媛県では生育は確認できないそうです。
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Nitella crispa Imahori
平成30年8月 兵庫県
by mst-ky | 2018-08-24 22:49 | ため池・湖沼の植物 | Trackback(11)

ヒシモドキ (オオバコ科)

ヒシモドキ(オオバコ科ヒシモドキ属)は湖沼や河川・水路などに生育する一年生の浮き葉植物です。花は開放花と閉鎖花があり、場所によっては開放花が見られず閉鎖花ばかりの所もあるようです。
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ここでは水深の浅い場所にクロモ H.verticillata やトリゲモ N.minor と一緒に生育していました。
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Trapella sinensis Oliv.
平成30年8月 兵庫県
by mst-ky | 2018-08-22 20:16 | ため池・湖沼の植物 | Trackback

カンガレイ (カヤツリグサ科)

カンガレイ(カヤツリグサ科ホタルイ属)は湖沼や水路などに生育する多年生の抽水~湿性植物です。
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花期は6~10月で、柄のない2~10数個の小穂が側生状に付きます。
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Schoenoplectiella triangulata (Roxb.) J.D.Jung et H.K.Choi
平成30年8月 京都府
by mst-ky | 2018-08-09 20:52 | ため池・湖沼の植物 | Trackback

オオトリゲモ (トチカガミ科)

オオトリゲモ(トチカガミ科イバラモ属)は一年生の沈水植物で、湖沼やため池などに生育します。ここでは水深のある山間部のため池にクロモ H.verticillata やキヌフラスコモ N.gracilens と共に生育していますが、栄養状態が良いのか葉の大きさも他の類似種と比べて大きく、草丈も大きなもので70~80cmもありました。
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葉腋には成熟した雄花が付いていました。類似種のトリゲモ N.minor やヒロハトリゲモ(サガミトリゲモ )N.chinensis の雄花は成熟しても葉鞘の中に入っており、このように葉鞘から飛び出すことはありません。
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雄花の葯室は4室あり、成熟すると葯室の仕切りは判らなくなりますが、未熟な場合はこのように仕切りが見えます。
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これは雌花で柱頭は2裂しています。雄花の葯室が本種と同じように4室ある類似種にはヒロハトリゲモがありますが、ヒロハトリゲモの雌花の花柱は短くて柱頭は3~5裂し、本種とは雌花の形状でも区別できます。ちなみにオオトリゲモの花柱はほとんどが2裂で稀に3裂する場合もあります。
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Najas oguraensis Miki
平成30年8月 京都府
by mst-ky | 2018-08-01 22:54 | ため池・湖沼の植物 | Trackback(26)

タヌキモ (タヌキモ科)

タヌキモ(タヌキモ科タヌキモ属)は草体全体がタヌキの尾に似ていることからこの名前が付いたそうです。またタヌキモ科の植物はすべてが食虫植物で、葉で捕虫するムシトリスミレ属と、捕虫嚢が発達したタヌキモ属とがあります。
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タヌキモはオオタヌキモ U.macrorhiza とイヌタヌキモ U.australis の交雑種と言われ結実しません。
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ここではこのように大群生していました。
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Utricularia japonica Makino
平成30年7月 京都府
by mst-ky | 2018-07-26 19:38 | ため池・湖沼の植物 | Trackback

ニッポンフラスコモ (シャジクモ科)

ニッポンフラスコモ(シャジクモ科フラスコモ属)は東アジアに分布し、国内では本州、四国、九州のおもにため池に生育しているそうです、また環境省RDB2017では「絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)」とされており、近い将来絶滅が危ぶまれる危険度の高い藻類のひとつのようです。ここでは山間部の日照が続くと干上がってしまう小さな湿地にわずかな個体が生育していました。
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最終枝はふつう2細胞ですが、時々3細胞もあり、ふつう短縮しているが伸長している事もあるようです。
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左が雌器、右が雄器で各節に普通1小筒つきますが、たまに雌器が双生する場合があるようです。
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ふつう卵胞子は黄褐色~褐色で、らせん縁は5~7本だそうです。この個体のらせん縁は6本確認できます。
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このように卵胞子膜の表面は粒状の突起があります。これは図鑑に書かれているニッポンフラスコモの特徴と一致します。
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Nitella japonica Allen
平成30年7月 京都府
by mst-ky | 2018-07-22 22:06 | ため池・湖沼の植物 | Trackback(11)

ホンフサフラスコモ (シャジクモ科)

ホンフサフラスコモ(シャジクモ科フラスコモ属)は山間部の水の比較的きれいなため池等に生育する雌雄同株の淡水藻類です。
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この池全体の池底を覆っており、見事な「車軸藻帯」を形成していました。
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判りづらいですが、第2分射枝は5~6本です、また終端細胞は2細胞で短縮はしません。
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この時期でも生殖器が残っているものもありました、輪生枝の第1節には付かず第2、3節に付いていました。1目盛は100μmです。
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らせん縁は6本あります。
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卵胞子膜には明瞭ではないですが、細かい粒状模様が規則的に詰まっています
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Nitella pseudoflabellata A.Braun
平成30年1月 兵庫県
by mst-ky | 2018-01-24 07:25 | ため池・湖沼の植物 | Trackback(7)

トガリフラスコモ (シャジクモ科)

トガリフラスコモ(シャジクモ科フラスコモ属)は15~30cmほどの大きさで、おもに水田や水田脇の素掘りの水路に生育します。構造の複雑なフラスコモ属の中では比較的単純な構造の種で、他種と比べると識別しやすいのですが、類似種に形態では区別が付かないチャボフラスコモ var.capitulifera があります。チャボフラスコモの卵胞子の表面模様は平滑ですが、トガリフラスコモは不規則な乳頭状の突起模様があり、この点で両種を識別するようです。
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これは結実枝で、不結実枝と比べて小さくなり終端細胞は鋭く尖ります。この鋭く尖った終端細胞から和名のトガリと、学名の種小名 acuminata が付けられているようです。
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第2分射枝は2~4本で最終枝となり、終端細胞は1細胞でソーセージ状です。このことは種を同定する重要要素となります。
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卵胞子のらせん縁は5~7本です。
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卵胞子表面には不規則に並んだ乳頭状の突起模様があります。
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Nitella acuminata Braun ex Wallman var. subglomerata (Braun) Allen
平成29年11月 京都府
by mst-ky | 2017-11-11 22:46 | ため池・湖沼の植物 | Trackback

シャジクモ (シャジクモ科)

シャジクモ類は円柱形の茎の節部から小枝を放射状に輪生しているスギナ状の形態を持つ水中植物で、形態は維管束植物ににていますが藻類の仲間です。
この仲間はおもにため池や自然度の高い水田に生育していますが、生育環境が失われつつあるため環境省RDBではほとんどの種がⅠ類(EB+CR)の高いランクが付けられています。
そのなかでもシャジクモは水田等で比較的見ることが出来るため、環境省RDBでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)とされています。
ここでは湧水があり常に水が溜まっている状態の放棄水田で見かけました。
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シャジクモは主軸に皮層が無いのが特徴で、雄器・雌器は小枝の下部節に付きます。
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終端細胞は短縮しており1細胞です。
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上に付いているのが雌器で、下が雄器です。受精すると雌器は卵胞子になります。
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これは卵胞子で、シャジクモの卵胞子の色は黒色です。
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Chara braunii Gmelin
平成29年8月 京都府
by mst-ky | 2017-08-15 07:05 | ため池・湖沼の植物 | Trackback